Server Power Capping」という技術をご存知ですか?日本語で言うと「サーバ消費電力制限」という意味ですが、先日、中国の検索エンジンBaidu(バイドゥ)社がPower Cappingを使ったProof of Concept(POC検証の結果が、InfoWorld記事紹介されていました。参考になるデータだと思いますので、詳細を見てみましょう。


まず、最近データセンターの消費電力が、国内外でかなり注目されるようになってきました。米国政府が2年前に発表した調査結果では、3年前の2006年時点で米国内のデータセンター消費電力が既に全米のカラーテレビの消費電力を上回っていることが分かりました。日本国内でも、2007年~2012年の5年間に、データセンタ消費電力が2になるというデータも出ています。現場レベルのお客様と話す私たちF5SEにも、システムの消費電力を気になさっているような声も、珍しくないです。 

  

各データセンターに一つの発電所をどうぞ

 

他にも様々なデータがありますが、結論的にデータセンターの消費電力が多大なため、ITシステム経費への影響を減らすことが重要であると言えるでしょう。よく聞くソリューション、たとえばACPIやサーバ仮想化によるコンソリデーション、ではサーバやシステムレベルで「可能な限り消費電力を抑えよう」という観点から作成されました。一方、Power Cappingは「最大消費電力をきちんと管理しよう」という考え方です。そのため、データセンターレベルでの計画的なランニングコストを計算するためにPower Cappingは有力なツールの一つかもしれません。

  

しかし、データセンターやシステムレベルで消費電力を制限するにあたって、パフォーマンスに影響を与えないような制限値をどうやって決めるかが大きな疑問点です。そこがBaidu社の検証が参考になるところです。

  

検証結果を理解するために、まずPower Cappingは具体的にどのように行われているかを理解する必要があります。様々なベンダーソリューションがありますが、一例としてIntel社のコミュニティサイトに実装方法についての説明を挙げます(1,2)。簡単にまとめますと、以前から存在するACPIなどのサーバレベルの消費電力を制限する技術を利用して、システムレベル(複数台のサーバ)で管理する仕組みです。

  

たとえば、Power Cappingの管理ソフト(Intel社の場合は「Node Manager」と呼ばれています)が各サーバのPSUから消費電力のデータを常に収集しています。そこで管理者が200Wの最大制限値を設定しますと、Node ManagerACPIの技術で200Wを超えているサーバの処理能力を200Wのターゲットまで落としていきます。(この例をもうちょっと具体的に言いますと、Node ManagerがサーバCPUP-Stateを変更することにより、サーバの周波数と電圧が変わるため、結果的に処理能力と消費電力が落ちる)

 

処理能力を落とす??それで良いのか??とお考えの方もいらっしゃるはずです。では、Baidu社の検証結果に戻りましょう。

  

参考になるデータが89ページにあります。Baidu社の場合、パフォーマンスを「処理時間を2ms以下」という定義をしました。そのパフォーマンスゴールを満たす同時リクエスト数が、Power Capping250Wに制限している場合とCappingを全くしていない場合(最大400W)が一緒であることが判明しました。つまり、サーバ毎に消費電力を250Wに制限しておいても、Baidu社が考える「パフォーマンス」に影響がないと判断できます。その結果、これまで1ラックあたり5台のサーバしか運用できなかったところ、78台までに安全に増やすことができるようになったのです(+60%のキャパシティ)。

  

ということで、これまでのキャパシティプランニングに無駄があった、とも言えます。しかし、ほとんどのITマネージャも同じようなプランニングしかできなかったと思いますので、無駄があっても仕方がないですね。でもユーザから見られる「パフォーマンス」(たとえばレスポンス時間など)で測定すれば、Baidu社と同様にCPU使用率100%以前にピークパフォーマンスが出ていることもあるかもしれません。そういった環境においては、Power Cappingでサーバの消費電力を制限することが有効な手法になるでしょう。

  

ちなみに、サーバ側のPower Cappingを見てきましたが、BIG-IPはどうでしょうか?たしかに、BIG-IPではPower CappingPower管理のような機能は現在ありません。なぜ?BIG-IPとサーバの比率は1:数十台もしくは1:数百台のケースが多いので、BIG-IPの消費電力を抑えるよりも、その数十台の消費電力を抑えるために、BIG-IPL4L7の処理をもっとオフロードできるように機能を開発してください、という声の方が多いです。

   

  

BIG-IPPower Cappingと同様に、計画的なご利用によってシステムレベルで消費電力を制限するGreenITソリューションとして考えるのがベストではないかと思います。

 




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その他興味深いGreen ITの実現方法:

利用していないサーバの電源を落とすことは、計算されたリスク

http://www.infoworld.com/d/green-it/powering-down-servers-calculated-risk-868?page=0,0&source=rs

空調の無いグーグルの新データセンター

http://www.datacenterknowledge.com/archives/2009/07/15/googles-chiller-less-data-center/